トップメッセージ

食の「共創圏」を構築・拡大し、
多様なパートナーとともに新たな価値創造に挑みます。

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代表取締役社長執行役員 兼 COO
國分晃

第11次長期経営計画の
最終年度を迎えて

国分グループは2024年、5か年にわたる第11次長期経営計画の4年目を終了しました。外部環境の変化を大きく感じた年でもあり、能登半島地震や記録的な猛暑・豪雨といった自然災害が相次ぎ、食のライフラインを守る責任の重さを再認識する一年となりました。原材料価格や物流コストの上昇、円安による内外価格差の拡大、人手不足の深刻化など、食品業界を取り巻く課題は多岐にわたります。私たち卸売業は、食の安全保障を担い、どのような価値を創出していくべきか――その問いに真摯に向き合いながら、さらなる進化に挑んでいかなければならないと考えています。

多様な共創圏パートナーとともに
新たな価値を創出

「共創圏の構築・拡大」では、これまでに累計215件を超える共創圏パートナーとの取り組み実績が蓄積されてきました。中でも、伊吹運輸株式会社との共創によるサプライチェーンの効率化や、SOULA株式会社とのヘルスケア分野での業務提携は、新たな価値創出につながる成果となっています。これらの取り組みは、単なる取引関係を超えた「共創」の形を具現化し、「食のマーケティングカンパニー」としての可能性を広げるものです。現在は、こうした共創パートナー各社と、取り組みの進捗や課題、今後の展望について共有しながら、次のステージに向けた準備を進めているところです。

300年余年の歩みを受け継ぎ、
食品卸売業として社会課題に取り組む

国分グループでは、2020年にSDGsステートメントを策定し、SDGsに対する取り組みを明確にしました。取り組むべき重要なテーマとして「地球環境」「食糧生産」「サプライチェーン」「マーケティング」「生活者」「人財」の6つのマテリアリティ(重要事項)を特定しています。

これらの策定の背景には、創業期から受け継がれてきた国分の行動憲章「帳目」があります。SDGsステートメントは、300年以上にわたって培われてきた企業文化や理念を、現代のフレームワークであるSDGsを通じて再定義したものにほかなりません。私たちは第11次長期経営計画においても、これらを事業活動の核として明確に位置付けています。

マテリアリティの中でも「地球環境」は、私たち食を扱う事業者にとって直接関わるテーマです。地球温暖化による気候変動は、農作物の収穫量や品質の低下など、食品業界に大きな影響を及ぼしています。一方で、食品業界もまた原材料の生産や加工、流通などを通じてGHGを排出し「地球環境」に負の影響を与えています。世界的にGHG排出量削減の目標が強化されており、国分グループにおいても2030年度の削減目標を30%から60%に引き上げました。

さらに、Scope3のGHG排出量を正確に把握するために管理システムを刷新し、2025年4月から新たにサステナビリティERPの運用を開始しました。Scope3の削減は、お取引先や共創圏パートナーの協力なしには実現できません。今後は脱炭素に向け、より具体的な道筋を描いていく必要があります。

同様に、国分グループが主導して取り組めるテーマは他にもあります。その一つが食品ロスの削減です。食料自給率の低い日本において、まだ食べられる食品が大量に廃棄されている現状があり、中間流通である私たち卸売業が、製造者と販売者に働きかけ、ともに協力して削減してゆかなければなりません。また、当社では、AIを活用した需要予測システムなどの新技術により、発注や在庫管理の精度を高め、食品ロスの削減に努めています。併せて、非プラスチック素材やリサイクル可能な包装材の採用、環境配慮型商品の取り扱い拡大などにも、食品卸売業として注力していきます。

持続可能なサプライチェーンの
構築に向けて

サプライチェーン全体で社会課題に向き合っていくことも、極めて重要です。国分グループでは「持続可能なサプライチェーン方針・ガイドライン」を策定しました。方針では、私たちの目指す方向性を明確にし、ガイドラインではサプライチェーン上のお取引先の皆さまとともに取り組むための具体的な行動指針を示しています。

2024年には、開発商品の製造委託先の皆さまを対象に、サプライヤー調査アンケートを実施しました。このアンケートは「人権」「労働環境」「地球環境」などに関するリスクの可視化を目的としており、回答をお願いする中で、特に中小企業のお取引先では現実的な制約から対応が難しいという課題があることも明らかになりました。しかしながら、こうしたリスクがあるからといって、ただちにお取引を終了することが本質的な解決につながるわけではありません。

国分グループでは、ガイドラインが一方的な基準とならぬよう、お取引先の皆さまと対話を重ねながら、双方にとってより良い方法を一緒に模索していきたいと考えています。互いに協力し合いながら丁寧に関係を築いていくことが、持続可能なサプライチェーンの構築につながると確信しています。

「食のマーケティングカンパニー」の
進化のさらに先の成長へ

第11次長期経営計画の総仕上げを経て、私たちは「『食のマーケティングカンパニー』の進化」というビジョンを、次なる第12次長期経営計画へとつなげていきます。不確実性が増す外部環境の中にあっても、食品流通業としての機能と強みを最大限に生かし、多様な共創パートナーとともに、食を通じた新たな価値の提供を続けていきます。